コラム

高級すき焼き屋のランチ戦略

コラム 2016/01/29


私のオフィスのある博多、中洲で

美味しいすき焼きといえば、

「ちんや」さんという方が多いのではないでしょうか。

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夜、お酒も飲めば、締めて一人、一万ちょっとというところ

でしょうか。(飲む量、食べる量にもよりますが。)

そのちんやさん、実はランチも有名です。

焼肉定食がなんと760円。

しかも、夜食べるものと同等品質のお肉が、
鉄板でジュージューいいながら提供されます。

その肉は、「切り落とし」と言われる、肉を

整形する時に出てくる細切れ肉ではないかと思います。

(但し、焼肉としては十分立派です。)

しかし、このランチ営業は夜の食事の

品質アップに大きな貢献をしてくれていると考えられます。

ご存知の通り、家賃は1ヶ月単位で払うわけでありますから、

ランチ営業をすることで、家賃を昼と夜に分けられます。

結果的に、夜の相対的な料理代金が

下げられることになるでしょう。

また、夜の営業をするためには、

遅くとも午後からは仕込みを始めるはずですが、

電気代や通勤交通費などもランチに計上できますから、

これも夜の食事に好影響が与えられます。

そして、何より美しくスライスされた

すき焼き用の一枚肉や、ステーキ肉を切り出す上で

出てくる肉、いわゆる「切り落とし」の再利用が

できます。

この考え方は、お肉業界だけに

使えるものではないと思います。

あらゆる業界の商品開発や、

ビジネスモデル開発でも応用できるでしょう。

例えば、セミナー業などでも、実際に話した時の感触や、

ゼミナーの理論展開の流れがスムースか、

全体時間の設定は適切かなどをチェックするために

リハーサル会場を借りてしまえば、

コストだけがかかります。

これを無料でやってしまっては、

「切り落とし」を捨てることになります。

しかし、そのセミナーが現在開発したばかりの

プロトタイプである事をご承知いただき、

モニター価格でご受講いただくというのも

悪くないかと思います。

ご受講いただいた方に、

しっかりフィードバックしていただければ、

一人でリハーサルするよりも断然大きな収穫が

得られるでしょう。

コスト的、品質的にも、

後に正式リリースされる商品に

大きなメリットが付加されます。

もちろん、テストとはいえ、お金をいただくからには、

十分な効果があることが前提ではありますが、

1万円のすき焼きディナーとは

グレードが違うものの、760円で大満足の

焼肉定食がお召し上がりいただけるのではないでしょうか。

そして、その品質の高さを実感いただけたら、

次の家族の記念日には、

ちょっと背伸びをして1万円のディナーに行こうかな・・・

という人も現れてくるのかもしれません。



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