コラム

主体性とリーダーシップ

コラム 2016/01/31


「部下の主体性がなくて・・・。」

そんな相談をよく受けます。

その部下はどこで主体性を

失ったのでしょうか?

そもそも人間は生まれながらにして

主体性を持っています。

産まれて目が見えるようになり、

自我が芽生えると、

子供は何にでも興味を持ち、

指差し、触り、口に入れてみます。

立てるようになると、

何度も転びながら、

時には棚に頭を打ち付けて泣きながらも、

また立ち上がり、

歩くことをやめません。

幼稚園や保育園に行く頃になると、

なんで?なんで?と理由を知りたがり、

僕がやりたい、私も見たいと、

あらゆるものに好奇心を持ちます。

人間は元来そんな生き物なのです。

Child playing with dogs in the water

しかし、だんだんと教育が進むに従って

「こうあるべき」「こうしてはダメ」という

親や、学校や、社会の価値観やルールが

植え付けられていきます。

そして気付くと、自分も気付かないうちに

「見えない何か」に縛られてしまうことが

多いようです。

確かにまだまだ生き物として未熟な

子供が生きていくためには、

保護者や社会からの庇護が必要です。

また、秩序を保つにはある程度の

「社会規範」や「常識」といったルールが

あった方が便利です。

しかし、過度にこの様なルールの

存在を盲目的に信じたり、

そもそもその存在に

気付かなくなったりすることは危険です。

それは、自分の価値観ではなく、

他人や社会の価値観で生きていくと

いうことだからです。

それが主体性を蝕んでいくのです。

では、主体性を失ってしまった状態に

陥った部下を、どのようにすれば、

元々の主体性のある状態に

戻せるのでしょうか?

「ノミの天井」という話をご存知でしょうか?

ノミは体長の何十倍もの高さを

跳ぶことが出来ます。

そのノミをガラスのコップに入れても、

ノミはコップの口からぴょんぴょんと

跳び出していくでしょう。

ではそこで、このコップにガラスの

フタをするとどうなるか?

当然軽いノミはフタにぶつかって

下に落ちてきます。

何度も何度もぶつかっては落ち、

ぶつかっては落ち・・・を繰り返します。

しかし、そのうち、そのガラスの天井以上には

跳ばなくなるそうです。

そうなると、フタをはずしてみても、

フタがあった高さ以上に跳ばなく

なっており、コップの外に跳び出ることは

なくなると言われています。

天井より上には跳べないんだ、

そう思い込んでしまうのでしょうか。

これこそが、主体性を失った部下の

状態なのかもしれません。

社会生活をしていく中で、

意識的、無意識的に感じてきたガラスの天井。

元気よく跳ぶたびに

頭にぶつかる天井以上に高く飛ぶという事を、

もはや、やめてしまったのかもしれません。

では、一旦ガラスの天井の高さ以上に

跳ばなくなったノミを

元のように元気に跳ばせることは

出来ないのでしょうか。

Leadership - Golden Key on White Background. 3D Render. Business Concept.

・・・ノミと天井の話には

続きがあります。

跳ばなくなったノミを

元のように元気に跳ばせる方法。

それは、飛べなくなったノミたちの

コップの中に、野生の通常どおり

高く跳べるノミを混ぜてやることです。

そうすることで、

跳ぶことを忘れていたノミたちも、

少しずつ跳ぶことを思い出すというのです。

ということは、

部下の主体性を取り戻すには、

上司が主体性を取り戻せばいいのです。

野生のノミのように。

しかし、上司自身も「野生のノミ」では

なくなっているかもしれません。

では、上司はいかに主体性を

発揮すればいいのでしょうか?

それは、自分で出来ることをやるということ。

望む未来や結果を自分で決めて、

それに向かって「自分が」やれることを

しっかりとやるということです。

他人や社会や会社、過去の出来事など、

自分ではコントロールできないことが

思い通りにならないことを嘆いて

無為に日々を過ごすのではなく、

現在の自分が出来ることに

フォーカスし、未来を創っていく

ということです。

そのために

「そもそも自分がどうありたいのか?」

と自問自答すると良いでしょう。

もし許されるのであれば、

優秀なコーチなどの対話や質問の

高い技術を借りて、

自分らしいビジョンを作っていくことが

最も効果的です。

そして、そのビジョンを達成するための

原理原則に基づいた卓越した戦略を立案し、

実際に行動に移していくと、

その過程で経験する

小さな成功体験の積み重ねが

主体性を育んでいきます。

それはまさしく、

跳び方を忘れたノミが

高い視点を少しずつ取り戻していく

過程に似ています。

部下という直接的に

コントロール出来ない他人を

コントロールしようとするのではなく、

自分の行動をコントロールし、

主体性を発揮する。

そうすることで部下に対する

影響力を高めていく。

主体性を高い次元で発揮する

上司の姿を見て、

部下は主体性を思い出していくのです。

最高の上司は、

部下をコントロールしません。

部下が勝手に上司の真似をしていくのです。

主体性を発揮させるための薬は主体性なのです。

そして、この主体性の発揮こそが

リーダーシップの本質ではないでしょうか。



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