コラム

内定を出した新入社員が辞めていく会社の特徴

コラム 2018/02/13


Water loss from rubber line tube. Bad pipe connection, pipe leak.

目に見える大きなお金と、
目に見えない大きな労力を使って
せっかく出した内定。

そんな人事部門の苦労を知ってか知らずか、
青天の霹靂ともいうべき一本の電話が
突然オフィスに鳴り響きます。

「すみません。
大変お世話になって恐縮なのですが、
今回は入社を辞退させてください。」

その後、いろいろな説明がなされますが、
こちらの耳には何も入って来ない・・・。

そんな経験をされた事のある方も
多いでしょう。

もちろん様々な個別の状況があるので
絶対的な防止策はありませんが、
確実に内定辞退を誘発する手法ならば
存在します。

それが、「釣った魚に餌はやらない」を
忠実に実践する事です。

特に、内定から入社までにある程度の
時間が空く新卒者や、在職中途入社などでは
顕著な傾向です。

人事部では常に社内のヒトに関する仕事を
しています。

新入社員の入社書類の準備や社会保険等の
手続きなどで名前をはじめとする個人情報や
履歴書の顔写真を見るため、無意識に
新入社員との心理的な距離が近い錯覚を
得ています。

しかし、一方で企業側が意識しない限り、
新入社員側でそのような心理的距離の
接近を感じられることはありません。

それは、「私」が寝ても覚めても恋焦がれる人を
想っていても、想っただけでは、相手の生活には
全く「私」が登場してこない片思いに似ています。

あるいは、家族の幸せのためにと思って仕事に
没頭した結果、放ったらかされていると感じた
家族に捨てられる人にも似ているかもしれません。

大切なことは、「私」の感じる心理的距離は
「あなた」の感じる心理的距離と
イコールではないということを認識する事です。

Abstract of red heart on balance brass .

それを認識した上で、この心理的距離の相違を
縮めていいこうとする具体的なアクションを
起こす事が肝要です。

これは人事部側がリーダーシップを発揮し、
常に先手先手の行動を起こさなければなりません。

・研修を企画する
・メールを送る
・手紙、ハガキを送る
・電話をする
・会いに行く
・SNSでコミュニケーションを取る
・メルマガやニュースレターを発行する

いろんな手はあります。

しかし、それがやれている会社は意外と少ないものです。

それはなぜか?

端的にいうと、面倒臭いからです。

こちらから「発信」していくことは至極面倒臭いのです。

発信する内容を決め、時間を作り、文書や記事を作り、
宛先を調べて発信する。

新入社員受け入れ業務だけやっているわけではく、
他の日常業務に追われている人事の人にとっては
確かに面倒臭いものです。

そこで、一つ、具体的かつ、手軽な解決策を紹介します。

それは・・・

「入社書類を分けて提出してもらう」ということです。

入社書類は複数あると思いますが、
これを一回で回収するのではなく、
敢えて何回かに分けて回収するのです。

その度に簡単な季節の挨拶やご機嫌伺い、
会社の近況報告などが書かれた送り状を
添えておけばいいのです。

これだけで、入社を待つ側は「放っておかれる感」が
ぐっと緩和されます。

重ねる

ザイアンス効果というものがあります。

これは、同じ人や物に接する回数が増えるほど、
その対象に対して好印象を持つようになる効果の
ことです。

あまり興味のないアイドルに対し、CMで顔を見たり、
繰り返し歌を聞いたりしている内に、いい方向に印象が
変わってくることを経験した事がないでしょうか。

このように、内定者との心理的距離感を適正に保ち、
少しずつ縮めて行く上で大切なのは、
「定期的にこちら発信のコミュニケーションを取る」
ということなのです。

これだけで、相手との関係性はぐっと深まってきます。

コミュニケーションのドアノブは内側には必ず
ついていると言います。

ドアの向こう側にノブがついているかどうかは
定かではありません。

しかし、こちら側からそのドアを開けることは
いつでも出来るのです。

もし、「うちはしっかりコミュニケーションを取って、
何かあったらいつでも連絡してね!って言って
ケータイまで教えてあるから大丈夫」などと
思っていたら要注意です。

「何か」あっても相手は連絡はしてきません。

何かあった時。

それは内定辞退の時かもしれません。

是非、内定者から見た心理的距離感について会社で
考えて見てください。

あなたの会社に素晴らしい春が訪れますように、
お祈りしています。

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