間もなく4月を迎えます。
会社にとって優秀な人材を採用し、
育成していくことが重要であることは
言うまでもありません。
企業の人材力とは人数×個人の優秀さで
表されると言ってもいいでしょう。
しかし、優秀さとはなんでしょうか?
これまでは、何かを知っていることや、
何かが出来ることが優秀さの
バロメーターでした。
しかし、現代社会の多くの産業において、
このパラダイムは既に崩れています。
これだけ社会の変化が激しい世の中に
おいては、今持っている知識や経験が
すぐに役に立たなくなってしまうからです。
コンピュータやエレクトロニクスの世界が
その最たるものでしょう。
プログラミングのある言語を覚えていたり、
ある最先端の技術を知ったりていても、
すぐに新しいものに取って代わられます。
理系の世界に限らず文系の出身者の
各種資格も同じようにAI(人工知能)に
取って代わられるでしょう。
資格を発行できるということは
正しい答えがあるということです。
正解があるということは、
いづれ人工知能やコンピュータによって
再現できるということになります。
しかし、このような現代において、
企業の教育の現場で何が行われているかと
いうとマニュアルや知識、ノウハウなどの
正解となる「お手本」のあることの習得を
促すものが多かったりします。
もちろん、入社したばかりの社員の生産性を
早く上げるためには、この基礎的な教育や
OJTは必要です。
しかし、それだけでは社会の変化に
対応できる社員は育ちません。
社会の変化は私たちの変化や成長を
待ってはくれません。
私たちが主体的に社会の変化を感じ、
自ら成長続けていかなければならないのです。
そういう意味で、これからの優秀さとは
1)社会の変化を感じ取り、
2)次の一手の選択肢を自ら創り、
3)正しく選択していく能力を持ち、
4)この能力を高め続ける努力が出来る
ということになると考えています。
決められたことを決められた通りに
実行するマネジメントの時代から、
道なき道を切り拓きながら、
「正しい」道を探していく
リーダーシップの時代に変わってきたと
言ってもいいでしょう。
会社や上司に意識が向いた
会社忠誠心ではなく、
より良い社会の創造に意識が向いた
社会忠誠心が求められる時代なのです。
しかし、その心構えや対応方法を
教える育成プログラムを企業内で
取り入れている例は非常に稀です。
そもそも、これを社内で啓蒙し、
育んでいくのは容易ではありません。
現代の日本を動かしている中心層であり、
教える側に回っている40代50代の
「大人」がマネジメントの時代に育ち、
生きてきたからです。
日本の発展を支えた高度経済成長期。
当時の日本は鉄鋼や造船、自動車や
家電などの製造業を中心としたものでした。
このころのMade in Japanの製品は
安定的な品質で壊れないということが
評価され世界を席巻してきました。
それに伴い、基準品質を確実に
製造し続けるマネジメントが重要視され、
学校での教育も満点という基準に
近づくことが優秀であるという風潮が
出来てしまったのです。
このような教育や環境に育った
私たち「大人」は決められたことを
しっかりやるのは得意なのですが、
自ら情報を集め、思考を巡らし、
最終的に自分なりの結論を出して
意思決定をし、それを世に発信していくこと
などは苦手です。
しかし、私たち「大人」自身が、
マネジメントに加えて、このような
真のリーダーシップを発揮して
自ら選択肢を創造し、その中から選んで
前に進んでいくという本質的な主体性を
持たないことには、これからの優秀人材を
育てることは出来ません。
こう言うと絶望的に聞こえるかもしれません。
しかし、安心してください。
そもそも、私たち人間は変化にうまく対応し、
成長し続けることが出来るように
プログラミングされてます。
犬や馬などの動物は生まれてすぐに立ち上がり、
乳を吸い、食餌を得るすべを知ります。
しかし、それ以降は体が一定まで
大きくなること以外に大きな成長はありません。
ところが、人間は違います。
生まれても自分で歩くどころか乳すら吸えないし
食餌を得るすべを覚えるのに多くの時間が
かかる一方で、体が大きくなること以外にも、
毎年毎年経験を積み、成体になっても一生を
通じて成長を止めません。
人間だけが白紙の脳で生まれてきたと言います。
その白紙の脳には何でも書き込めます。
他の動物とは違うのです。
300年前の人間と現代の人間では、
同じ人間でありながら、学ぶことが
全く違うからこそ、人類としての文明の進化を
伝承していけるのです。
戦後の日本はリーダーシップの
時代だったはずです。
全てを失った焼け野原の中で、
それでも立ち上がり一歩を踏み出した
先人たち。
社会に変革を起こすようなリーダーに
なるための第一歩は、
まず自分の人生のリーダーシップを
手に入れることです。
自らの人生を自らの価値観に沿って
デザインしていくことから始まります。
咲き乱れる桜の花のような誇らしげな
顔で入ってくる若き新入社員。
現代に生きる大人として、
自らの人生をデザインできるような
リーダーシップ教育の導入を
検討してみてください。
きっと仕事に情熱を持てる社員が増え、
社風もよくなってくることでしょう。