コラム

【決める、決まる、そして決める】

コラム 2016/01/26


決めるというのは奥が深いと思います。

特に、決めた結果がどう転がったとしても

納得出来るような決め方は難しいものです。

経営者にとって「決める」という事はお仕事そのものと

言っても過言ではないでしょう。

経営者が決めた事を、実現していくのが会社という

組織の役割。

したがって、社長が方針を決めない限り、

組織は動いていきません。

もちろん、「指示待ち社員」を作るような組織を

推奨しているのではありません。

ただ、会社のミッションやビジジョンは

社長にしか決められないのです。

ーーー

物事を決めるには2つの要素が

必要ではないかと考えています。

ひとつは現在社長自身がお持ちの価値観を知ること。

価値観とは、現在のビジネスや立場における

価値の観方(みかた)や、善悪の判断基準と

言っていいでしょう。

これがない限り、主体的、能動的な選択は出来ません。

将来のビジョンを達成していくために、

支店を増やして日本のマーケットを席捲するのか。

あるいは、一気にアジア展開を睨んで

シンガポールやマレーシアに出ていくのか。

もし、社長のやりたい事が明確になって

いないとしたら、この選択は出来ません。

しかしながら、意外とこの「やりたい事」は、

経営者の本当の価値観ではなく、他人や社会の通念、

あるいは、銀行やコンサルタントのアドバイスなどに

影響されていることが多いものです。

 

 

まずは、ポジションを絞り、小さなマーケットでも

いいからナンバーワンになる事が先決だろう。

これからの日本の人口が減少していくのは

分かっているのであるから、海外に出ていくのは当然の選択だ。

これらの方針は、社長の本来の価値観ではなく、

他人やステークホルダー(会社関係者)の価値観や思惑が

反映された考え方かもしれません。

言い換えれば、この判断は自分のものではなく、

間接的に誰かに「決められている」という事です。

ーーー

決める上でもう一つ必要なのは、判断をする為に必要な

情報や経験を持っておくということです。

仮に組織を日本で拡大していく戦略を取ると

決めたとしても、そのノウハウや経験がないと

なかなか最初の一歩が踏み出せません。

Business man hitting grungy wall with a hammer

これが、最初の支店を出す時に感じる壁の正体です。

コンサルティングの最初には社長の価値観を

誤解のないように理解する為、コーチング的な

アプローチでゆっくりとお話をお伺いします。

そして、事業展開のための具体的情報やノウハウ提供を

次第にさせていただく事で、しっくりとくる

決断が出来る事がよくあります。

「自分がこんな昔の出来事を今でも大切にしているとは、

明確に認識してはいなかった。」

「いつも自分がこのパターンで不本意な選択を

してきたのは、無意識にこの事が

気になっていたからなのか。」

「会社の宝は、実は当社では当たり前と

思っていた〇〇の精神だったのか!」

コンサルティングにおける対話や質問を通じ、

考えを言語化していただいたり、

幾つかの質問をさせてもらったりする事で、

経営者様の価値観が深掘りされ、洗練されていきます。

また、実際に戦略を戦術に落とし、

これを実行していく段階で情報やノウハウが

足りない場合は、科学的根拠や原理原則に基づいた

フレームワークを提供することで、新しい視点を

手に入れ、最初の一歩を踏み出す事が出来ます。

コンサルタントの中には、いきなり

この「やり方」の部分から入る会社もありますが、

経営者の価値観の共有がコンサルタントと

なされないままコンサルティングが始まると、

経営者は何とも言い難い違和感を抱えたまま

プロジェクトを進めることになります。

しかし逆に、しっかりとこの2つのプロセスを経て、

コンサルティングをさせていただいていると、

クライアント企業様のやりたいことが、ふとした瞬間に

「決まる」ことがあります。

この「決まる」という感覚が手に入るという事は、

ご自身の価値観とこれまでの経験とが、

ふっと統合される瞬間を体感しているのかも知れません。

コンサルティングを通じて、このような変容を体験して

いただけると、私たちコンサルタントとしては嬉しいですね。

そして、一旦この「決まる」感覚が分かれば

次に「決める」事がぐっと容易になります。

それは、経営者ご自身の価値観が明確になるという

ステップを通過したからです。

そして、これにはもう一つ大切な意味があります。

それは、決められる社長は幸せであるという事です。

決められる人は、自分の価値観を知っている人。

幸せとは単にどれだけ多くの物や人に囲まれているかではなく、

その物や人がどれだけ自分の価値観に合っているかに拠るからです。

そういう意味では、幸せを知る社長の周りには

幸せな社員が集まってくることになります。

是非、ビジネスを通じて幸せな会社作りのお手伝いを

させていただき、私自身の幸せも感じて参りたいと思います。



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