コラム

モチベーションを上げない。

コラム 2016/01/30


よく、社員のモチベーションを

上げるにはどうすればいいですか?

という質問を受けます。

もちろん環境や状況によらず必ずうまくいく

「正しい答え」はありませんが、

私はこのように答えます。

それは、「モチベーションを上げない。」

ということ。

モチベーションを上げようという試みは、

相手をコントロールしようという意図が

潜んでいます。

人は意識的であれ、無意識であれ、

自分がコントロールされようとしていると感じると、

動きません。

だからこそ、モチベーションが高く、

本当の意味で主体的な動きが出来る組織作りのために

必要なのは、モチベーションを「上げる」ことではなく、

モチベーションが「上がる」仕組みを作ることなのです。

structure

その第一歩は、チームメンバーそれぞれにとっての、

モチベーションが上がるポイントを知ることです。

もちろん、社員が会社組織に集まって来る

一次的理由としてはお金は重要です。

確かに、端的に会社の存在意義を表現すると、

提供する価値や商品を通じて社会貢献をし、

結果として売り上げや利益を得るという事になります。

しかし、会社に属する二次的理由は

お金以外にあることが多いもの事実なのです。

これは「コーヒー」という一次的な

価値を得る(飲む)ために

スターバックスさんによく行く人と、

ドトールコーヒーさんによく行く人の

目的や嗜好が違うことに似ています。

あるいは、同じ「電子計算機」としての機能を

買うためにWindowsのマシンを選ぶか、

Macのマシンを選ぶかの価値観の違いにも

通じるでしょう。

会社に属することで安定を求める人がいます。

会社に、仲間との連帯感や社会的なつながりを

求める人がいます。

早く出世して同期で一番になり、

金を稼いでやろうという人もいるでしょう。

日々の業務の中での学び、成長、キャリアアップを

求める人もいます。

あるいは、純粋に会社の理念や商品に共感し、

これを多くの人に届けたいという人もいるはずです。

もちろん、人間をこのタイプのどれか一つに

当てはめることは出来ませんが、
「この傾向が強い。」といった、考え方の性向は

見えるのではないでしょうか。

リーダーやマネージャーは、

このような考え方を理解しておき、

その価値観を大切にするコミュニケ−ションを

心がけるだけで、社員のモチベーションを

「上げる」必要がなくなります。

ただ、この傾向も、社員の環境や成長にしたがって、

変化してきます。

そのため、社内に定期的な面談システムなどを構築して、

定点チェックをしていく事がとても有効です。

メンバーの働く意欲の原動力が分かれば、

おのずから対応も見えてきますし、
対応するまでもなく、部下は上司を慕ってきます。

そして、会社を信頼します。

そして、この面談システムと、

人事考課システムを連動させると、

社員の給与と二次的喜び、

そして、その原資となる利益が

リンクしてきます。

その時には、もはやモチベーションを

「管理」する必要はありません。

そこでもうひとつお勧めしたいのが、

社長のビジョンを語るという事。

組織のモチベーションを上げたいと

思っていたからには、

モチベーションを上げた結果、

こうしていきたい、

こんな社会や商品を作っていきたい、

というビジョンや目標があったはずです。

それを、社員の皆さんに分かる

平易な言葉で伝えてみませんか?

私は、こんな社会や未来を創りたい。

そのために、まずはこういう状態を作りたい。

だから何とかして、夏までに

この課題をみんなでやり遂げたいんだ!

そしてそれは、みんな(社員や部下)にとっては、

こんな意味を持つ。
(達成後に社員や部下に起こる彼らの価値観に合ったメリット)

人は、理屈よりも、気持ちや感情で動く事が

多いものです。

組織のメンバーの価値観を知り、

信頼関係ができた上で、

是非熱く将来ビジョンを語ってください。

全員ではないにしろ、きっと何人かの理解者が集まり、

そこからブレークスルーが始まるはずです。



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