コラム

それならビジョンなんか要らない

コラム 2016/09/19


【参謀の眼】

最近、ビジョンという言葉を
よく耳にするようになりました。

「ビジョンが必要だ。」
「ビジョンを明確に!」

確かにビジョンを示すことは大事です。

当社のセミナー「参謀の眼」の中でも
ビジョンを大切さを説いています。

しかし、一方ではビジョンなんか
要らないとも思っています。

なぜなら、ビジョンとは「示す」もの
だから。

先日のセミナー後の懇親会会場の居酒屋で
出てきたスパゲティナポリタンをつまみながら
話題に上がったのですが、ビジョンとは
このナポリタンのようなものです。

ウインナー、玉ねぎ、ピーマン、パスタ、
ケチャップといった具材。

これらは、ナポリタンではありません。

あくまで、ウインナー、玉ねぎ、ピーマン、
ケチャップ、パスタといった食材です。

しかし、1人前のスパゲティナポリタンを作る
といった方向性(ビジョン)を示した瞬間、
食材はナポリタンの材料に変わります。

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居酒屋では、ウインナー、玉ねぎ、ピーマン、
ケチャップ、パスタは様々な役割を持っています。

ウインナーは単品でも提供されるでしょうし、
玉ねぎやピーマン、ケチャップは他の料理にも
使われるでしょう。パスタは、ミートソースや
カルボナーラでも使われるかも知れません。

このように、ウインナー、玉ねぎ、ピーマン、
ケチャップ、パスタという、固有の価値を持つ
食材は、ナポリタンという一つの方向性が
ビジョンとして示されることで、
切られる形や、使用される量や、
使われるタイミングなどが
決められていくのです。

それぞれ固有の価値を持つ素材が、
その個性を精一杯出し合って、
ビジョンの実現に向けて新しい価値を
産み出すのです。

実際には、食材を切る人、麺を茹でる人、
フライパンで食材を炒める人が
その価値を最大化していくわけですが。

このように、複数のメンバーが役割を
分担して一つの新しい価値を時には
リーダーがビジョンを示すことは
とても大事です。

それがないと、何をいつ、どう調理していいか
わからないからです。

そして、一旦ビジョンが示されると、
ミッションという概念が生まれます。

最高に美味しい状態のナポリタンを
提供するために担当者は、マニュアルに従い、
きっちり仕事をこなすわけです。

ーーー

一方、家庭で一人で
「ナポリタン一丁オーダー入ります!」と言って
自分にビジョンを示しつつ、料理を始める人は
少ないのではないでしょうか?
(別にそれ自体悪くはありませんよ。)

もちろん、料理を始める前に必要な材料を
書き出しておくことは料理の効率化に
つながるかも知れませんが、それは、
ビジョンではなく、ナポリタンを作っていく上で
の戦略やプランにあたる部分です。

ビジョンはチームや社会に向けて
方向性を示すためのものです。

Signpost with writing Polaris directing north against blue sky.

「ビジョンが明確にならなくて動けません。」
という若いマネージャーや起業準備中の方に
出会うことがあります。

それは、いきなり最高に美味しいナポリタンを
作ろうとしているだけかも知れません。

あるいは、もしかしたら、ナポリタンを
食べたこともないのに、聞きかじりや
「あこがれ」でそれを作ろうとしている人も
中にはいるかも知れません。

誰にだって、何にだって初めての瞬間はあります。

しかし、人はそれを経験し、繰り返し、少しずつ
上手くなっていくものです。

まずは、不細工でもいいから作ってみて、
そこからのフィードバックや
新しいノウハウを手に入れ、
どんどんブラッシュアップしていけば
いいのではないでしょうか?

ビジョンは手段であり、目的ではありません。

そんな着眼点を持ってみてはいかがでしょうか?



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