コラム

企業成長と社員満足度、そして採用力向上を 同時に実現させる「代謝力」とは?

コラム 2018/01/30


タンポポの綿毛

こんにちは。
ギャブリッジパートナーズ株式会社の松尾です。

「人財調達力」コラム、本日は3つ目の柱、
「代謝力」についてお話し致します。

「代謝力」は他の2つの要素と違って
少し聞き慣れない言葉かもしれません。
セミナーでお話をする際も、この言葉を初めて
耳にしたという方も多くおられます。


この代謝力についても、3つの要素から
説明すると、その要素とは・・・

▼ (1)会社がどこに、どのようなルートで向かおうと
    しているのかを社員に周知させるビジョン発信力

▼ (2)ビジョンを達成するために不足している人材や素質を
    明確にし、その獲得を支援する人事制度構築力

▼ (3)現在から将来に必要な社員が入社・残留し、
    卒業すべき社員が痛みなく主体的に卒業していく人材流動力


です。


(1)の「ビジョン発信力」は、これから会社が
どこに向かおうとしているのか
具体的に社員が誤解なく理解出来るような
仕組みを社内に構築していく力です。

多くの会社の社員研修をする中で、
多くの「頑張っている」社員さんが
異口同音に言うこと。
それは・・・

「私は会社のためにすごく頑張っているのに
会社に、認めてもらえていない」
というものです。

また、その上司はこう言います。

「彼のやる気は分かるんだけど
ちょっとズレてるんですよね・・・。」

これはまさに、上司部下間で行き先の
共有ができていないことが原因です。

もしかしたらこの上司も会社の行き先を
見誤っているのかもしれません。

このような状態をこの二人のせいにしても
意味がありません。

この二人が会社の行き先を
知るべくして知る仕組みができていない事を
改善せねばならないのです。

上りの電車を良かれと思って下り方面に
引っ張ろうとして疲弊する悲しい社員さんを
作るのは会社として罪なことなのです。

 

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(2)の「人事制度構築力」は、
単純ですが、あまり出来ていない事の多い
「頑張った人が報われる制度」を
構築する力です。

日本の人事制度は従来年功序列型が多く、
年齢が高く勤続年数が長い人が評価されるのが
特徴です。

(今回は言及しませんが、年「功」序列と
年「数」序列は違います。)

また、日本の高度経済成長期を支えた
製造業が世界に誇ったジャパンブランドの
特徴である「信頼」がベースになっているせいか、
満点からの減点法が主流です。

しかし、この減点法の評価制度は社員の
チャレンジ精神を奪いかねません。

ビジョンとは単なる現在の延長線上の
未来ではなく、自ら変化を起こして手に入れる
今とは別次元の理想の未来です。

そのような未来を手に入れるには
今持ち合わせていない新たな物を手に入れるために
失敗を恐れず、しぶとく
取り組んでいく勇気と根気のある社員の
存在が不可欠です。

しかし、新規事業開発などの「正解」のない
不確実な未来に向けて、失敗を覚悟で
額と心に汗を流す社員の評価が下がり、
何の冒険もしないで上司の評価を稼ぐ
保守的な社員が着々と収入を上げては、
勇気を出して努力をした社員が
浮ばれません。

このように、すぐに成果は出せなくても
企業のために弛まざる努力を地道にしている
社員を評価し、「サラリーマンという安定」に
胡座をかいて行動を起こさない社員を
評価しない評価基準が必要なのは
至極当たり前のこと。

しかし、これが出来ていないのが
とても多いのです。

これを全体最適化しなければ、挑戦する
社員が辞めていき胡坐をかいている高給な
社員が残ってしまうのです。

そして何より大きな問題は、お客様も
従業員も魅了するような輝かしいビジョンは
永遠に達成されないということなのです。


(3)の「人材流動力」の向上は企業と社員の
成長の時計を合わせる仕組みを作る事です。

誰しも「この会社で頑張ろう!」と思って
入社しますし、会社もその社員の幸せを
願います。

しかし、この移り変わりの早い世の中では
全体を見据える経営者と
細分化された目の前の課題解決に尽力する
社員とではいつの間にか歩みの方向や
ペースが違って来てしまいます。

こうやって期せずして方向のずれてしまった
社員には会社の願うパフォーマンスの発揮は
期待できません。

社員一人一人を大切したいという思いは
変わらずとも、経営としてはお客様に
預かっている大切なお金を、方向性のずれた
社員に多く分配するわけにはいきません。

かといって、簡単にリストラなどをすれば
企業としても様々な痛みを伴います。

日本の頭脳が集まったような大企業の
スキャンダルで何の前触れもなく多くの
優秀な社員がリストラされることは
日本の国力の低下にも繋がります。

私たちは1日50〜100本の髪の毛が
抜けていると言われますが、ここに痛みは
ありません。

しかし、髪の毛を引っこ抜けば痛むのです。

このように自然な組織的新陳代謝が起こる
仕組みを作り、スムーズに会社を「卒業」出来る
制度を準備する事によって、その会社で
活躍できる人だけが残ることが実現されます。

具体的には今回お伝えした「ビジョン発信力」や
「人事制度構築力」の向上に加え、会社と自分の
ビジョンの方向性のズレに気付く機会と
それをどう対処していくのか自分で考えられる
だけの能力を育んでおくことが肝要です。

それには定期的な面談や研修といった社員育成の
機会の提供が有効です。

そして、この企業の代謝力の高まりは
取りも直さず、社員が安心してそれぞれの
最高のパフォーマンスを発揮できる
土台づくりであり、面談や研修コストの
原資創造につながるのです。

公共職業安定所調べのデータでは、
有効求人率は現在1.52倍を記録。
帝国データバンクの調査データによると、
企業総数の45.4%が人材不足とのこと。

正社員におけるこの数値は、同調査がスタートした
2006年以降最高値を記録しています。

2020年には有効求人率が2.0倍になると
言われている超採用難時代。
慢性的な人材不足の現代日本において、
離職率低下に向けて社員の流出防止に
躍起になっている会社さんが多いようです。

しかし企業成長の成長と、それを支える
社員の幸せの両立を叶える(すなわち
入社したくなる会社作り)には代謝力の
向上は非常に重要です。

行き先のわからない船に社を乗せることは、
社員の人生に必要のない、しかも、
簡単には下りられない航海に付き合わせ、
のちに後悔させることになり、
ついには会社の業績や
評判を落としてしまいます。

また、その船に乗っている人が
いつもやりがいを持って元気に働ける
環境づくりも大切です。

時には笑顔でお礼を言いながら下船出来る
寄港地を作る事も大事です。

船に乗せられる人数は限られているのですから。

帆船

そのような素敵な船を作っていく事が
人材調達力、3本目の柱、代謝力です。

是非、経営の視点から御社の代謝力について
考えてみてください。

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